星降る夜に
京都駅から電話した渉
その日の夕方 渉が本当に来てくれた
渉 渉!!
くるみ 来たよ キミの誕生日のお祝いに来たよ
駅で会った瞬間
二人は抱き合った 再会の喜びをかみしめた
強く 優しく お互いを 確かめた
くるみは涙で顔が濡れる
暖かい二人の抱擁 約束の抱擁とキス
ありがとう 言葉にならない・・・ 嬉しいよ 渉
また 渉の胸に飛び込んだ
渉の腕が くるみの全部を強く 優しく 抱きしめてくれる
渉・・・ 会いたかった 会いたかった
ボクもくるみに会いたくてたまらなかったよ
バスでくるみの部屋に帰り着くまで
ずっと5本の指を交互に握りしめてたね 何か不安なことがあるかのように
目の前のくるみが 腕の中のくるみが
肩を抱いてくれてる渉が
お互いが 夢でないように・・・
くるみ 少し身長伸びた?
どうして?
いつもの位置と違うよ くるみの髪が
そうやって 渉はくるみの髪をなでてくれる
あ 今日は少しヒールがあるからだよ きっと
そうなんだ 珍しいね くるみがヒールって
うん 2足くらいしか持ってないもんね
スカートだから
そんな話をしながら バスに揺られたね
時々顔を見合わせて にやにやしたね
笑ったね 安心して
さー 着いた
「くるみ 少し歩かない? 」
そうね 気持ちいい風も吹いてるね
なんだか 渉 言いたい事があるのね
大切な事は 外 風が吹く場所で言うものね いつも
手を繋いで 肩を抱いて 歩く
渉の香り くるみの香り 確かめる
アパートを通り過ぎ 丘の上まで来たね
今日は静かだねー ほら 星が見える キラキラしてる
ここ座ろうか くるみ うん そうだね 空を見よう
「 これだけは 今日 直接くるみに言いたかったんだ いい? 」
答える間もなく 渉は真剣な顔で続けたね
怖いことじゃなければ なんでもいいよ 渉
渉が真面目な顔になるときは 何かの決意や約束を言う時
『 くるみ まだ僕たち大学生だけど 社会人になったら くるみ ボクのお嫁さんになってくれる? 』
どうした? くるみ? いけなかった?
「 違う 違うよ 渉 びっくりしただけ 今答えるの? 」
「 できれば 今日返事を聞かせて欲しい 」
一瞬 何も音がしない世界
神様が通ったね
くるみはドキドキ 渉もドキドキ
涙がひとすじ すーっとくるみの頬に流れた
「 からかってるんじゃないよね こんな大切なこと 」
渉の目を見れば解る 肩を抱く渉の腕の感じで解る 渉の気持ちが解るよ
渉 渉 渉 ありがとう
何を考えることがある? 決まってるのに 決まってる 願ってる ずっと・・・
くるみ? なぜ 涙がでてるの
「 いつも冗談みたいに言ってたのに 今日は違うんだもん 」
「 私も渉と結婚したい・・・ 」
本当だね くるみ!
決まってるじゃない そんなこと決まってるじゃない 渉
決まってるじゃない
いつも言ってたじゃない
それでも こんな風にちゃんと言って 答えを貰いたかったんだよ くるみ
二人は 静かに穏やかに まるで初めてのキスのように 優しくお互いの唇にふれた
星空の下で 渉からのプロポーズ
しばらく そのまま二人で景色を眺めてたね
二人の時間はずっと止まったまま
くるみの涙もかわいた 渉の決意 伝わってきた
肩寄せ合って ずーっと座っていたね 静かだった
空の星が二人を祝福してくれてる キラキラと
高校卒業前に買ったお揃いの指輪が光ってる
渉は首からさげてたね 指輪と指輪で乾杯したね
「 社会人になったら もっといい指輪買ってあげるからね 」
ううん これがいいよ この指輪が大好きよ
これで充分だよ 渉
恋と愛と結婚 違うの?
二人の想いが同じだったら きっと大丈夫なんだよ くるみ
何も心配しないでいい
くるみを 心か ら愛してるよ
渉 渉を愛してる